ちょっといい話

ゴーヤ
ピ~ンポ~ン♪
Kさんという方がビニール袋いっぱいの野菜を持ってきてくれた。
もしかして、この人がよく義母の話に出てくる「ゴーヤのKさん」か?
私の知ってる限り、Kという名字はこのKさん一人きりだ。
確信に近いものを持って、
「あ、どうもありがとうございます。いつもゴーヤを沢山いただいてるみたいで・・・
何だか、すみません。」
受け取ってお礼を言うと、そのKさんは
「もらっでくれで、ありがとうごぜいます。ゴーヤは今日・・・」
と黒目だけを下に向けて、ビニール袋の中を覗いていた。
そして、足早に帰って行った。自転車を飛ばして。
もらってくれてありがとう・・・ぶるっと身震いしてこの人すごい!と思った。
私の頭の片隅ではいつまでも「もらってくれてありがとう」がぐるぐる回り続けた。
ーーーいい話には続きがあってーーー
ビニール袋には、胡瓜とトマトが沢山、ゴーヤが1本、入れられていた。ひょろ長くて、
緑色の薄いゴーヤだった。梅雨に逆戻りしたかのような天候続きのせいだろう・・・すると、5分も経たないうちに、
ピ~ンポ~ン♪
また、Kさんだ。どうしたんだろ?
Kさんの手には1本のゴーヤが握りしめられていた。
ーーーおしまいーーー
え?私がゴーヤの話を持ち出さなければ、再度、収穫の少ないであろうゴーヤをわざわざ持って来なかったって?そうでしょうよ。でも、それではいい話の続きは生まれなかった、と思うことにしよう。

-ヒューマン

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