よいしょの会

どっこいしょ
よいしょの会・会長
30代後半になってから、「よいしょ」がごく自然に滑らかに口から出るようになった。
始めのうちはまだましで、立ち上がったり、座ったり、遠くの物を取ったりと全身を使う動作でその言葉が出ていたのに近頃はそうじゃない。飲み会でこの話題になったとき、友人0は「よいしょならまだまし、俺なんて、たまにどっこいしょだよ」とかなり上を行ってたし、夫がノートブックパソコンを開く時によいしょと言うのを私は何度も聞いている。友人Tが手を洗う時、ハンドソープボトルのノズルを押すだけなのによいしょと言うのも私は聞き逃さなかった。つい先日もパン屋の店員さんがお会計の時、菓子パンを小袋に分けてテープで留めながら、う~ん、よいしょ、う~ん、よいしょ、レジからお釣りの小銭を取り出しながら、よいしょ、よいしょと連発し、私と夫は同じ事を言いたげに目を合わせ、口をすぼめ、鼻をふくらませ、堪えた。きっとあの人も同世代だったんだろうな。私の父母たちの世代になると、よいしょも進化して、その言葉自体が消え去り、屈む時なんか「う゛・ぅぅ~」「ぁ・ぁぁ~」「え゛ぇ・ぇ~」「あ゛・ぁ~」と腹の底から力強く濁った声を出し始める。さすが先を行っている、よいしょの次はこれか、それともその間にまだ何かあるのか?

-ヒューマン

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